意外に思われるかもしれませんが、夏場のエアコンの内部はカビにとって繁殖しやすい環境が整っています。黒い斑点を見つけて「え!?もしかしてカビ?」と思われたご経験はないでしょうか?
エアコンに生えたカビは、自分でお掃除できるのでしょうか?―― じつは、エアコンの内部をお掃除するには一定の分解が必要です。よって、分解できない方がお掃除できる箇所は限られます。
本稿では、自分でお掃除できる範囲や掃除方法をご紹介します。カビが生える原因と予防方法も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。自分でできることと、業者に任せるべきことが分かりますよ。
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エアコンのカビ掃除は自分でできる?
空気中には、カビの胞子や菌糸が浮遊しています。どこかに着地した胞子は、発芽して、繁殖する環境が整いしだい必ず繁殖します。
参考:神奈川県衛生研究所『空気中のカビ』
エアコン内部にも、カビが繁殖します。
繁殖したカビは、吹き出す風とともに飛散して、居住者の健康に害を及ぼすこともあります。ですから、定期的にエアコンのカビ掃除が必要なのです。
では、エアコンに付着したカビは、どこまで自分でお掃除できるのでしょうか?
エアコンを分解できない方は、内部までお掃除できない
エアコンは、自分でお掃除できます。ただし、一般の方がお掃除できる範囲は限られるでしょう。
エアコン内部のお掃除は、以下の手順を踏まなければなりません。
- 内装や家具を汚さないように養生
- 一部の部品を分解して取り外す
- 適切な洗剤と機材で高圧洗浄する
- 取り外した部品も手洗いする
- 組み立てて、元の状態に戻す
- 機器の点検および動作確認
このような一連の作業をおこなうには、技術力と専門知識が必要です。ですから、一般の方が内部の奥のほうまで自分でお手入れすることは困難でしょう。
エアコンの内部まで徹底的にクリーニングしたい方は、専門の業者にご依頼ください。なお、エアコンのカビ掃除をするタイミングは以下のとおりです。
- エアコンから吹き出す風がカビ臭い
- エアコンをつけると、咳が出たり喉が痛くなったりする
- エアコンの吹き出し口から奥をのぞくと、黒い斑点が見える
ご家庭のエアコンが上述の状態になっているようなら、カビ掃除のサインだとお考えください。
洗浄スプレーの使用は、各メーカーが禁止している
ところで、市販されているエアコンクリーニング用の洗浄スプレーは使えないのでしょうか?
じつは、ほとんどのエアコンメーカーが「市販の洗浄スプレー」の使用を禁止しています。その理由は、以下のとおりです。
- 内部部品の破損や電気部品の故障の原因になる
- 水漏れや発煙、発火につながるおそれがある
参考まで、エアコンメーカーの告知ページのリンクを張っておきましょう。お時間ありましたら、ご覧ください。
上述のページには、いずれも市販されている洗浄スプレーの使用を控えるように書かれています。
さらに、市販されている洗浄スプレーの使用には、以下の問題もあります。
- お掃除できる範囲は熱交換器(アルミフィン)程度
- 前面に自動お掃除用の機械装置や電気部品がある場合、洗浄できない
- 噴射後、すすぎ洗いができないので、液剤の成分が残留する
- カビや汚れがひどい場合は、洗浄スプレーでは落ちない
エアコン内部の奥のほうにある「送風ファン」のお掃除は、洗浄スプレーでは困難です。前面に電気部品や自動お掃除用の機械装置があると、熱交換器すら露出が少なく、洗浄できません。
万が一、電気部品に液剤が掛かると、故障や火災の原因になります。洗浄スプレーを使って自分でお掃除するのは、メリットよりリスクのほうが大きいのではないでしょうか。
自分でできるエアコンのカビ掃除と、手順
では、エアコンはどこまで自分でお掃除できるのでしょうか?―― 自分でお掃除できるおもな箇所と、お掃除の手順をご紹介しましょう。
自分でお掃除できるおもな箇所は、フィルター・ルーバー・外装カバー
まず、エアコン内のお手入れが必要な箇所をご紹介しましょう。
分解 |
掃除箇所 |
備考 |
不要 |
エアフィルター |
室内から空気を取り込む際、ホコリをキャッチする部品。掃除機や水洗いで掃除。フィルターの自動お掃除機能がある機種は、汚れがひどいときのみ掃除。 |
その他のフィルター |
除菌フィルターや空気清浄フィルターなど。定期的に交換が必要。 |
ダストボックス |
フィルターの自動お掃除機能がある機種についている。ダストボックス内にホコリがたまったら、引き出して掃除機で吸い取る。 |
ルーバー |
風向きを変える部品。手の届く範囲を柔らかい布で拭き掃除する。 |
外装カバー |
柔らかい布で拭き掃除する。機種により、ユーザーが取り外して水洗いできる。 |
必要 |
熱交換器(アルミフィン) |
空気を冷やしたり温めたりする部品。 |
送風ファン |
筒状の部品で、回転しながら風を起こす部品。 |
ドレンパン |
冷房時に出る結露を受けとめ、排水用のドレンホースへ運ぶ部品。 |
上の表のとおり「フィルター類、ダストボックス、ルーバー、外装カバー」は分解作業が不要ですので、ご自分でお掃除していただけます。
一方「熱交換器、送風ファン、ドレンパン」などは、ご自分でお掃除するのは困難です。エアコンクリーニング専門の業者にご依頼ください。
お掃除に必要な道具と掃除手順
つづいて、エアフィルターとルーバーの「お掃除の手順」をご紹介します。
基本的には、エアコンの取扱説明書の手順に従ってください。ここでは、一般的な流れを4ステップでご紹介します。
なお、お掃除の頻度は「2週間に1回」程度が目安です。冷房や暖房のシーズンが終わったときも、実施するとよいでしょう。
1:道具をそろえる
まずは、お掃除の道具をそろえてください。必要なものは以下のとおりです。
- マスク
- 布(きれいな雑巾など)
- 掃除機
- ハンディモップ
- 柔らかめのブラシ(歯ブラシなど)
以上のアイテムがそろったら、ホコリやカビを吸い込まないようにマスクを着用してください。
2:電源プラグを抜いて本体のホコリを取る
お掃除を始める前に、エアコンの電源プラグをコンセントから抜いてください。プラグを抜く理由は、不意に動き出したり感電したりするのを防ぐためです。
エアコン本体の上には、ホコリがたまっています。エアフィルターの脱着中に飛び散らないように、ハンディモップで除去しておくとよいでしょう。
3:エアフィルターのホコリを取る
次は、エアフィルターのホコリを取ります。手順は、以下のとおりです。
- 前面の外装パネルを開ける
- 掃除機でサッとホコリを吸い取る
- エアフィルターを外す
- 掃除機で、入念にホコリを吸い取る
- お風呂場等でホコリを洗い流す
- 残ったホコリをブラシで洗い落とす
- 布で水気を拭き取ったあと乾燥する
エアフィルターのホコリは、室内側に付着しています。ですから、掃除機でフィルターのホコリを吸い取るときは、表側から吸いましょう。
洗い流すときは、フィルターの裏側からシャワーを使って水を当ててください。水圧でホコリが押し出されます。
乾かしているあいだに、ハンディモップや掃除機を使って、できる範囲でエアコン内のホコリを除去していただくとよいでしょう。
4:ルーバーのカビを拭き取る
吹き出し口のルーバー(風向きを変える羽根)部分も、ホコリやカビが付着しやすいパーツです。掃除機でホコリを吸い、取れにくい汚れやカビは、手の届く範囲内で拭き掃除しましょう。
仕上げに消毒用エタノール(エチルアルコール)を含ませたタオル等で拭き上げるとよいでしょう。エタノールは、クロカビやアオカビ、コウジカビなどに対して繁殖を抑える効果があります。
ただし、取扱説明書にエタノールの使用を禁止する記載がある場合は、使わないでください。
参考:国民生活センター『カビ対策は正しく知って、上手に予防することから』
なお、スプレー式のエタノールは吹きかけないようにしてください。基板やセンサーの故障、あるいは冷媒配管からのガス漏れなどにつながる可能性があります。
参考:三菱重工『エアコンにスプレーをかけていませんか?』
最後に、外装カバーを拭き上げてお掃除完了です。
エアコンに生えるカビの原因と予防方法
つづいて、エアコンに生えるカビの原因と予防方法をご紹介します。
そもそも、なぜエアコンにカビが生えるのでしょうか?そして、どうすればカビを予防できるのでしょうか?
それが分かっていたら、カビの繁殖を抑えたり、カビ掃除の頻度を少なくしたりできそうですよね。
原因は「冷房」や「除湿運転 (弱冷房)」による結露
エアコン内でカビが繁殖するおもな原因は「冷房」や「除湿運転 (弱冷房)」です。クーラー機能によって生じた結露が、カビの繁殖を助けているのです。
どういうことか、ご説明しましょう。カビの発育には、以下の4つの要素が必要です。
酸素 |
いたるところに常にある。 |
養分 |
とくに、糖質が栄養源になる。ホコリやプラスチック、建材に含まれる有機物、人やペットの老廃物も養分になる。 |
温度 |
20℃台でよく生える。10℃前後でも生えるが、繁殖速度が遅い。人間が生活しやすい温度は、カビにも適温。 |
水分 |
湿度が70%以上になると生え始める。湿度が90%以上になると、速やかに生える。 |
ご覧のとおり、人間が生活している環境下では、カビの繁殖に必要な「酸素・養分・温度」が整っています。つまり、あと「水分」さえあれば、カビは繁殖できるのです。
冷房や除湿モード(弱冷房)を使用したあとエアコンを止めると、冷えたエアコン本体と周りの空気の温度差から結露が生じます。この結露が、カビにとって必要な「水分」になります。
予防には「掃除」と「送風運転」がおすすめ
では、どうすればカビの繁殖を抑制できるのでしょうか?
酸素や温度は、手の打ちようがなさそうです。ですから、養分と水分を減らすことがカビの抑制につながります。
具体的には、以下のふたつを心がけていただくとよいでしょう。
- お掃除して、きれいな状態を維持することで、養分(ホコリ)を少なくする
- 送風運転でエアコン内部を乾燥させ、結露を防ぎ、湿度を下げる
では、なぜ「送風運転」で結露を防げるのでしょうか?
おもな理由は、以下のふたつです。
- 冷えたエアコン本体の温度を上昇させる
- 露点(空気中の水蒸気が水滴に変わる温度)に達する前に空気を風で飛ばす
ちなみに、新しいエアコンの多くは、カビを抑制する「内部クリーン機能」を搭載しています。この機能は、送風運転(または暖房)を利用していますので、これを活用していただくとよいでしょう。
内部クリーン機能がない場合は、手動で送風運転を実施してください。送風運転をおこなう時間の目安は、以下のとおりです。
- 冷房や除湿の使用直後に3~4時間程度かける
- 冷房のオフシーズンの前にも、半日程度かける
送風運転の電気代は、あまり気にしなくてよいでしょう。一般的な機種で、1時間あたり1円以下です。ぜひ、定期的なお掃除と送風運転を心がけてください。
なお、エアコンの送風運転によるカビ対策については、以下の記事で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
》エアコンの送風運転はカビ対策になる?カビ被害の予防方法を紹介
カビの放置はNG!健康に害を及ぼすことがある
エアコン内のカビの繁殖が疑われるときは、早めに対処していただくことをおすすめします。
カビは見た目の不快さが問題になりがちですが、健康にも大きな問題を引き起こします。エアコンから噴き出す空気がカビに汚染されている場合は、吸い込み続けることで症状の悪化要因になります。
カビによる健康被害の例をご紹介しましょう。
感染 |
カビが生体組織中で増殖して発症。白癬、口腔カンジダ症、侵襲性肺アスペルギルス症、クリプトコッカス髄膜炎など。 |
中毒 |
カビが産み出すカビ毒で発症。アフラトキシンやオクラトキシンによる肝臓癌、腎臓癌など。 |
アレルギー |
カビに対する過剰な免疫反応。喘息、過敏性肺臓炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症など。 |
上述の症状の中では、とりわけアレルギーに対して注意が必要でしょう。エアコンをつけた直後に咳や喉の痛みなどの症状が出るようなら、カビに対するアレルギー反応かもしれません。
近年、シックハウス症候群も「カビが一因になっているのではないか」と言われています。
シックハウス症候群は、室内環境に由来する健康障害の総称で、特定の疾患を指すものではありません。ですから、人によってさまざまな症状が出ます。一例をご紹介しておきましょう。
エアコン内のカビと健康被害については、以下の記事で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
》エアコンで喉が痛くなる原因はカビ!?痛みの予防方法を解説
エアコンのカビ掃除を専門業者に依頼するメリットとデメリット
ここまで、エアコン内部のクリーニングには専門的な知識や技術が必要なこと、そしてカビを放置すると健康によくないことをご紹介しました。
最後に、エアコンのカビ掃除を専門業者に依頼するメリットとデメリットをご紹介して終わりたいと思います。カビ掃除を専門業者に頼むかどうか迷っている方は、ぜひヒントにしてください。
デメリットは「費用」と「日程調整」
エアコンクリーニングを専門の業者に頼む最たるデメリットは「費用」でしょう。エアコンを放置、あるいは自分でお掃除すれば、0円から数千円で済みます。
一方、弊社が営業活動をおこなっている神奈川県では、専門業者によるエアコンクリーニングの費用相場(1台あたり)は以下のようになっています。
- 壁掛けタイプ:10,000~14,000円程度
- 壁掛けタイプ(自動お掃除機能つき):18,000~25,000円程度
- 天井埋め込みタイプ:25,000~30,000円程度
- 室外機:5,000~8,000円程度
なお、複数台をまとめてご依頼いただくと、割引になる場合があります。反対に、繁忙期は価格を上げる、あるいは割引キャンペーンをなくす業者もあります。
》エアコンクリーニングの料金はどれくらい?料金を抑えるコツも紹介!
エアコンクリーニングを依頼する場合、日程調整も必要になります。土・日・祝日、あるいはエアコンシーズン中からシーズン直後は混み合いますので、予約を取りにくいでしょう。
ですから、上述の日程にエアコンクリーニングを依頼したい方は、少し早めにご予約いただく等の調整が必要です。
メリットは「掃除の質」と「時間の節約」
専門業者にエアコンクリーニングを依頼するメリットは「掃除の質」と「時間の節約」でしょう。
専門業者は、エアコンを分解し、専用の洗剤と機材を使って高圧洗浄します。一般の方では手がとどかないような奥も、スッキリきれいになるでしょう。
お掃除前はたくさんのカビを吹き出していたエアコンも、お掃除後は快適な空気で冷暖房してくれるようになりますので、気持ちよく過ごせますよ。
時間も節約できます。エアコンクリーニングの所要時間をご紹介しておきましょう。
- プロが奥の方まで徹底的にクリーニング ⇒ 1~2時間程度かかる
- 一般の方が手の届く範囲でお掃除する場合 ⇒ 30~60分程度かかる
エアコンを徹底的にクリーニングしようと思うと1~2時間程度かかります。一般の方ができる範囲(フィルター、ルーバー、外装パネルなど)でお掃除する場合でも、30~60分程度かかります。
専門業者にご依頼いただくことで、その時間を他の家事や好きなことに使っていただけますよ。
このようなメリットから、エアコンクリーニングをよくご利用いただいているお客さまは、以下の方が多くなっています。
- 毎日お忙しい共働きのご世帯
- 子育て中で忙しいご世帯
上述の方々が、うまくエアコンクリーニングを活用して、家事の負担を減らしておられる印象です。
「エアコンのカビが気になる」「お掃除したいけど、時間がない」と感じておられる方は、専門業者を活用されてみてはいかがでしょうか。
とりわけ、赤ちゃんやペットがいるご家庭におすすめですよ。
まとめ:エアコンのカビ掃除は自分でやらず、プロに任せよう
エアコンに生えたカビをお掃除する際、一定の分解が必要です。ですから、分解作業ができない方やお掃除し慣れていない方にとって、エアコンに生えたカビの除去は困難な作業と言えるでしょう。
簡単に買える内部清掃用の洗浄スプレーもありますが、使用を禁止しているメーカーが少なくありませんので、注意が必要です。安全優先で内部までお掃除したい方は、プロの業者にご依頼ください。
神奈川県でエアコンクリーニング業者をお探しでしたら、年間実績1000台超えの「ハウスエイト」にご相談ください。詳しい情報は、以下のページでご確認いただけます。
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この記事の監修者
株式会社my connect(ハウスエイト)
代表取締役
会社概要 »
経歴:平成26年にハウスエイトを設立し横浜市や藤沢市を中心に神奈川県エリアで、エアコンクリーニングやキッチン・お風呂などのお掃除をするハウスクリーニング業に従事。
経験を活かし、プロの目線で、汚れのことやお掃除に関するお悩みの解決方法をブログで紹介しております。
神奈川 藤沢 横浜のハウスクリーニング、エアコンクリーニング、キッチン、レンジフード(換気扇)、トイレ、お風呂、定期清掃など家のお掃除のことなら断然お得!安いだけじゃないハウスエイトまでお気軽にご相談ください☆
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