自動お掃除機能付きエアコンとは？必要か？一般機との見分け方も解説

エアコンのお掃除、毎回面倒だと感じていませんか？とくに、フィルターのお掃除が大変ですよね。洗ったり乾かしたりがちょっと面倒で、小一時間くらい取られるのも困りものです。

そんな方にとって気になるのが「お掃除機能付きエアコン」の広告。自動でフィルターをお掃除してくれると聞くと魅力的に思えますが、はたしてメンテナンスフリーになるのでしょうか？

本稿では、エアコンの自動お掃除機能の特徴や、メリット・デメリットについて詳しく解説します。あなたにとって最適なエアコンを見つけるために、ぜひ最後までチェックしてください。

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自動お掃除機能付きエアコンとは

自動お掃除機能とは、エアフィルターに付着したゴミやホコリを自動でお掃除してくれる機能のことです。

機能の呼称は、メーカーによって違います。例をあげてみましょう。

• DAIKIN：フィルター自動お掃除
• Panasonic：フィルターお掃除ロボット
• 三菱電機：フィルターおそうじメカ
• 日立：自動クリーン運転・自動フィルター掃除

近年のエアコンには「内部クリーン」という機能も付いていますが、この機能と自動お掃除機能はまったくの別ものです (詳しくは後述)。

自動お掃除の基本的な仕組み

エアコンのお掃除機能のおもな対象は、エアフィルターの表面に付着したゴミやホコリです。

お掃除機能の基本的な仕組みは、次のようになっています。

1. エアフィルター表面をお掃除ユニットが往復し、ホコリをかき出す
2. かき出されたホコリは、ダストボックスにため込まれる
3. ダストボックスを取り出し、定期的にホコリを捨てる

ホコリの除去方法には、フィルター自体が回転する方式もあります。Panasonicの動画が分かりやすいので、載せておきましょう。

お掃除機能の作動方法は、自動と手動があります。時刻を設定して作動させられる機種もあります。

自動モードでは、一定の動作条件を満たすと、エアコンの運転停止後に自動でお掃除が始まります。手動モードでは、リモコン操作によりお好みのタイミングでお掃除を始められます。

自動お掃除機能のメリット

自動お掃除機能の直接的なメリットは、おそらくひとつしかありません。しかし、とても重要なメリットです。

自動お掃除機能が付いているエアコンなら、エアフィルター清掃の手間を減らすことができます。エアフィルターの表面に付着したゴミやホコリを、自動でお掃除してくれます。

エアフィルターのお掃除は、エアコンにとって非常に重要です。きっちりエアフィルターをお掃除することで、以下の効果を享受できます。

• 電気代の節約につながる
• お部屋の空気がクリーンになる
• エアコンの寿命を延ばせる可能性がある

もう少し、補足説明をしておきましょう。

電気代の節約につながる

フィルターにゴミやホコリがたまってしまうと、空気が通りにくくなり、エアコンの消費電力が増えてしまいます。

自動お掃除機能でフィルターを清潔に保つことで、効率的な運転を維持できます。その結果、電気代の節約につながります。

お部屋の空気がクリーンになる

フィルターにゴミやホコリがたまっていると、エアコンから吹き出す空気にもそれが混ざってしまいます。また、ゴミやホコリはカビの栄養源になり、繁殖を助けてしまいます。

自動お掃除機能でフィルターを清潔に保つことで、ゴミやホコリ、カビの飛散を抑制できるでしょう。

エアコンの寿命を延ばせる可能性がある

フィルターにゴミやホコリがたまったままだと、エアコンに負荷がかかり続け、故障のリスクが高まります。

一方、自動お掃除機能を活用してフィルターを清潔に保つことで、負荷が下がり、エアコンの寿命を延ばせる可能性があります。

どの程度、お掃除の手間を減らせるのか

自動お掃除機能付きのエアコンを買うと、どの程度お掃除の手間を減らせるのでしょうか？

たとえば、7～9月に冷房をフル稼働した場合、お掃除の回数は以下のようになります。

• 自動お掃除機能付きエアコン：1～2回
• 自動お掃除機能なしエアコン：6～7回

自動お掃除機能のないエアコンについては、毎日使うようなシーズン中は《2週間に1回》くらいの頻度でエアフィルターをお掃除したいところです。

一方、自動お掃除機能付きエアコンなら、エアフィルター清掃の頻度を大幅に減らせます。《2～3か月に1回》程度でよいでしょう。ただし、ダストボックスのホコリ除去が別途必要です。

これだけお掃除回数が減るなら、高齢者や足腰の弱い方、あるいは高所での作業が難しい方にとっては嬉しい機能と言えるのではないでしょうか？

お掃除機能なし機との見分け方

ご自宅にあるエアコンが、自動お掃除機能付きがどうか調べる方法をご紹介しましょう。これからご紹介する複数の方法で、総合的に判断してください。

まず、リモコンをご覧ください。《手動掃除》や《フィルター掃除》などのボタンがあれば、自動お掃除機能付きエアコンである可能性が高いでしょう。

次に、本体をご覧ください。以下の特徴があれば、自動お掃除機能付きエアコンである可能性が高いです。

• エアコン本体にダストボックスが付いている
• エアフィルターが簡単に取り外せない

また、お掃除機能付きエアコンの奥行は、自動お掃除ユニットがついているため厚い傾向があります。

エアコン室内機の底や横に型番が記載されている場合は、その型番をメーカーのホームページで調べるとよいでしょう。確実に判別できます。

なお、繰り返しになりますが「内部クリーン」は別の機能です。リモコンの内部クリーンボタンを押しても、エアフィルターはお掃除できません。

内部クリーン機能との違い

近年のエアコンには、ほとんどの機種に《内部クリーン機能》が付いています。この機能と自動お掃除機能は、何が違うのでしょうか？

内部クリーン機能とエアコンの自動お掃除機能は、まったくの別ものです。作動させる目的が異なります。

自動お掃除機能	エアコンのフィルターにたまったホコリを自動でお掃除する機能。作動時間は機種によるが、10～60分くらいが目安。
内部クリーン機能	エアコン内部に生じた結露を乾燥させ、カビや雑菌の繁殖を抑える機能。作動時間は機種によるが、1～3時間くらいが目安。

内部クリーン機能は、冷房あるいは除湿運転のあとに、送風や弱暖房運転を利用して自動的にエアコン内部を乾燥させる機能です。

どちらも自動モードをオンにしておけば、エアコンが適宜判断して、必要なほうの機能を勝手に作動させてくれます。

内部クリーン機能については、以下の記事で詳しく解説しています。ご興味がある方は、あわせてご覧ください。

エアコンの内部クリーン機能は意味ない？効果やデメリットを徹底解説

要らない？自分でできる？お掃除機能付きエアコンのデメリット

さて、エアコンの自動お掃除機能は付いていた方がいいのでしょうか？それとも、要らないのでしょうか？―― 結論から言うと、人によります。

頻繁にエアフィルターの掃除ができない方にとっては、有用な機能です。しかし短所もありますので、人によっては「高いコストを支払ってまで付ける機能ではない」と感じるかもしれません。

ここからは、自動お掃除機能のデメリットをご紹介します。

完全にメンテナンスフリーにできるわけではない

自動お掃除機能は、エアコン内部全体を掃除してくれるわけではありません。あくまで「フィルター掃除」の手間を減らしてくれるだけです。

熱交換器（アルミフィン）や送風ファン、ドレンパンなどの重要なパーツは、自動お掃除機能ではお掃除できません (高級機種の中には、熱交換器のお掃除機能が付いている機種もある)。

しかも、フィルターにこびりついたホコリや、油分を含む汚れは完全に落としきれません。汚れがひどい場合は、中性洗剤などを使って手作業でフィルターを掃除する必要があります。

また、ダストボックスにたまったホコリも、定期的に捨てる必要があります。

お掃除機能なしのエアコンより価格が高くなる

自動お掃除機能が付いていると、エアコンの本体価格が2.5～5万円程度アップします。

参考まで、自動お掃除機能なしのエアコンと、自動お掃除機能付きで安めのエアコンの価格を調べてみました (10帖用、2024年8月27日現在)。

メーカー	自動お掃除機能／型番	目安価格
DAIKIN	なし／S284ATES	約68,000円
	あり／S284ATCS	約94,000円
Panasonic	なし／CS-284DFL	約59,000円
	あり／CS-284DGX	約110,000円

自動お掃除機能が付いているエアコンは、他にもさまざまな機能が付加されています。その結果、ご覧のような本体価格差が生じます。

エアコンクリーニングの料金が上がる

お掃除機能付きといえども、エアコン内部は汚れていきます。カビが繁殖してしまうことも珍しくありません。

エアコン内部の汚れや繁殖したカビは、専門業者にクリーニングしてもらう必要があります。その際のクリーニング費用は、お掃除機能のないエアコンよりも高くなります。

では、どれくらい費用が違うのでしょうか？弊社が営業活動をおこなっている「神奈川県」の相場をご紹介しましょう。

• お掃除機能なし：10,000～15,000円／1台
• お掃除機能あり：15,000～25,000円／1台

エアコンにお掃除機能が付いていると、クリーニング代金が1.5～2倍程度上がります。なぜなら、自動お掃除機能付きエアコンは内部が複雑で、分解やフィルターの取り外しが難しいからです。

自動お掃除機能を付けず、習慣的に1～3年程度でエアコンクリーニングを依頼されるのも、ひとつの考え方としてありではないでしょうか。

自動お掃除機能の「要／不要」については、以下の記事で詳しく解説しています。ご興味がある方は、あわせてご覧ください。

エアコンの自動お掃除機能は必要か？プロがメリットとデメリットを解説

お掃除機能付きエアコンの選び方

つづいて、お掃除機能付きエアコンの選び方をご紹介します。

どのような基準でお掃除機能付きエアコンを選べばよいのか

ひとくちに「自動お掃除機能」と言っても、じつは多種多様です。ここでは、自動お掃除機能の確認項目をご紹介しましょう。

実際にエアコンを買われるときには、以下の項目をチェックして、ご自宅に合ったものをお選びください。

自動お掃除の対象範囲

お掃除機能のおもな対象は、フィルター表面のホコリです。しかし、機種によっては熱交換器の自動洗浄機能も備えているものがあります。

自動洗浄の範囲が広いほど、お手入れの手間を減らせます。ただし、一般的には機能が増えるほど本体価格が高額になります。

お掃除の頻度や時間

自動お掃除の頻度は、機種によって異なります。毎日自動でお掃除してくれるタイプもあれば、1週間に1回程度のものもあります。

掃除にかかる時間もさまざまですので、確認しておきましょう。お掃除の頻度が高く時間が短いほど、手間いらずで便利です。

ダストボックスの容量

自動で集めたホコリは、ダストボックスにたまります。ですから、ダストボックスの容量が大きいほど、ホコリを捨てる手間が減ります。

とは言え、たまったホコリを放置するとカビや雑菌が繁殖しかねません。《2週間から1か月に1回》程度の廃棄サイクルで済むサイズが、理想的ではないでしょうか？

静音性能

自動お掃除中の音が気になる方は、運転音の静かさもチェックしておきたいところです。タイマーで、留守中にお掃除機能を起動できる機種もあります。

ちなみに、お掃除機能の作動中はブラシが駆動する「カタカタ」音やホコリをかき取るときのこすれ音が鳴ります。

ホコリを自動で屋外に排出できるタイプは、ホコリを排出する際の「ゴー」という排気ファン音が聞こえます。ダストボックスタイプは、この排気音が鳴りません。

お掃除機能なしエアコンが向いている人

最後に《自動お掃除機能なし》のエアコンが向いている人の特徴をご紹介しましょう。以下に当てはまる方は、自動お掃除機能を付けるかどうか慎重にご検討ください。

エアフィルターのお掃除が、苦にならない方

お掃除機能なしエアコンは、エアフィルターのお掃除が苦にならない方に向いています。自分でエアフィルターのメンテナンスができるなら、リーズナブルな価格で本体を購入できます。

お掃除機能なしエアコンは、2週間に1回程度の頻度でフィルターのお掃除をする必要があります (エアコンシーズン中)。作業時間は、30分から1時間くらいでしょう。

シンプルな機能でじゅうぶんという方

「エアコンは、シンプルな機能でじゅうぶん」という方にも、お掃除機能なしのエアコンがおすすめです。

繰り返しになりますが、お掃除機能付きエアコンは、同じ性能のお掃除機能なしエアコンと比べて価格が2.5～5万円ほど高くなる傾向があります。

初期費用を抑えたい方は、お掃除機能なしエアコンを選ぶとよいでしょう。

まとめ：自動お掃除機能付きエアコンとは

自動お掃除機能とは、エアフィルターに付着したゴミやホコリを自動でお掃除してくれる機能のことです。エアフィルターのお掃除頻度を減らせますので、高所作業がツライ方に有用な機能でしょう。

一方、自動お掃除機能が付いたエアコンは、本体価格や専門業者によるクリーニングの費用が高くなります。ですから、できるだけ費用を抑えたい方には、お掃除機能なしのエアコンが向いています。

なお、自動お掃除機能が付いていても、メンテナンスフリーにはなりません。頻度が下がるとは言え、定期的なお掃除は必要です。内部の汚れやカビも、落とすことができません。

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