じつは、エアコン内はカビに汚染されやすい場所です。とりわけ夏場は、湿度が高く、カビが繁殖するのに好都合です。何か、カビを防止できる対策はないのでしょうか?
エアコンのカビを防止する対策としては、送風運転が有効です。カビが生えてしまった場合は、換気で健康を守りましょう。市販の洗浄スプレー等はリスクが高く、あまりおすすめできません。
本稿では、エアコンのカビ防止対策について詳しく解説します。エアコンと家族の健康をカビから守りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。きっと、予防のヒントが見つかりますよ。
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カビを完全に防止できるエアコンはあるのか?
さて、カビを完全に防止できるエアコンはあるのでしょうか?
空気中には、常にカビの菌糸や胞子(植物の種子のようなもの)が浮遊しています。エアコンは室内の空気を吸い込みますので、菌糸や胞子の付着をゼロにするのは難しいでしょう。
そこで各エアコンメーカーは、さまざまな技術を利用して、以下のようなカビ対策機能を実装しています。
- 付着した菌糸や胞子を除去する機能
- 菌糸の発育を阻止する機能
しかし、残念ながらカビ汚染を完全に防げるエアコンはありません。これは、どのメーカーも「カビを抑制」や「カビの繁殖を防ぐ」という曖昧な表現を使っていることからも分かります。
そもそも、ユーザーが適切な使い方やメンテナンスを実施しなければ、どんなに有用な機能が実装されていても効果を発揮できないでしょう。
ですから、カビを防ぎたいなら、少しでもカビが生えにくいエアコンを選び適切に利用することが肝心です。さらに、カビの生えやすい条件を理解しておけば、対策しやすくなるでしょう。
カビ予防に効果的なエアコンの選び方
では、エアコンのどこに着目して選べば、カビ対策ができるのでしょうか?―― ぜひ、カビを抑制する機能を搭載したエアコンを選んでください。
カビを抑制する機能の例をご紹介しましょう。
- 防カビコーティング
- 送風ファンのお掃除機能
- フィルター自動お掃除機能
- 熱交換器の防汚・乾燥・結露水洗浄機能
- 放電やイオンを利用した除菌機能
上述の機能が実装されていれば、カビの付着や、付着してしまったカビの繁殖をある程度抑制できます。その分、価格が上がりますので、機能とコストのバランスを考えながら選んでください。
最近は、除菌に対する意識の高まりからか、カビの抑制機能を強くアピールするエアコンが増えたように感じます。そういう意味では、カビ抑制機能のあるエアコンは探しやすいでしょう。
カタログやホームページをご覧いただくと、詳しい機能紹介が載っていますので、チェックしてみてください。いくつか例をご紹介しておきましょう。
上述のような機能を持ったエアコンなら、機能のないエアコンよりカビの繁殖を抑制できるでしょう。
エアコンにカビが生える条件
カビは、繁殖する環境が整えば必ず繁殖します。では、どんな条件のときに繁殖しやすいのでしょうか?条件を理解しておくと対策しやすいので、覚えておきましょう。
カビの発育には「養分・水分・温度・酸素」の4つの要素が必要です。養分・水分・温度については、補足の説明をしておきましょう。
養分 | 糖質を好む。ホコリやプラスチック、建材に含まれる有機物、人やペットの老廃物などあらゆるものが栄養源になる。 |
---|---|
水分 | 湿度が70%以上になると生え始める。湿度が90%以上になると、速やかに生える。 |
温度 | 20℃台でよく生える。10℃前後でも生えるが、繁殖速度が遅い。冷凍では繁殖しないが、死滅することもない。 |
エアコン内部は「養分・温度・酸素」が繁殖に適した状態です。そこへ水分が加わると、カビの繁殖する環境が整います。
じつは、冷房や除湿モード(弱冷房)を使用したあとエアコンを止めると、冷えたエアコン本体と周りの空気の温度差から結露が生じます。この結露を放置すると、カビが繁殖しやすくなります。
試していただきたい、エアコンのカビ防止対策
カビの繁殖を抑えるには、先述の「養分・水分・温度・酸素」のどれかを、カビの繁殖に向かない状態にすればいいということになります。
酸素は排除できません。温度も難しいでしょう。「人間が生活しやすい温度」と「カビが繁殖しやすい温度」は、重なっています。
ですから、カビの防止対策は、養分と水分のコントロールが有効ということになります。
- 水分:乾燥させる。換気したり通気させたりする。
- 養分:清掃して、きれいな状態を維持する。
この水分と養分の対策を、併用されるとよいでしょう。具体的な方法を、ご紹介します。
湿度を調整しよう
カビの繁殖を抑制するには、お部屋の湿度を65%以下に保つことが大切です。湿度が70%を超えると、カビの繁殖の好条件が整ってしまいます。
お部屋の湿度対策の例をご紹介しましょう。
- 除湿機や除湿剤を使う
- エアコンの冷房や除湿運転を使う
- 定期的に換気や通気をおこなう
ちなみに、傾斜地や地階・1階は、平地や2階以上のお部屋に比べて湿度が高くなりがちです。そのような環境のお部屋に設置されているエアコンは、より調湿の気配りが必要とお考えください。
なお、除湿のしすぎも問題がありますので、お気を付けください。湿度が40%を下回ると、喉を痛めたり、インフルエンザにかかりやすくなったりします。
エアコンの送風運転を活用しよう
冷房や除湿モードを使ったあと送風運転をおこなうと、以下の効果によって、エアコン内部に結露が生じるのを抑えられます。ぜひ、積極的にご活用ください。
- 冷えたエアコン本体の温度を上昇させる
- 露点(空気中の水蒸気が水滴に変わる温度)に達する前に空気を風で飛ばす
送風運転は、冷房や除湿の使用直後に3~4時間程度かけていただくとよいでしょう。冷房のオフシーズンの前にも、半日程度かけていただくことをおすすめします。
送風運転の電気代は、一般的な機種で1時間当たり1円以下です。半日稼働させても数円ですので、電気代をあまり気にすることなくご利用いただけます。
ちなみに、近年のエアコンは、カビを抑制する「内部クリーン機能」を搭載しているものがあります。じつは、この機能も送風運転(または暖房)を利用しています。ご活用ください。
フィルターやルーバーを掃除しよう
フィルターやルーバー(風向きを調整する部材)は、結露水やホコリが付着しやすい場所です。ですから、メンテナンスせずに放置するとカビが繁殖します。
エアコンの取扱説明書に従い、定期的にフィルターやルーバーのお手入れを実施しましょう。目安は2週間に1回程度です。冷房や暖房のシーズンが終わったときも、実施するとよいでしょう。
ルーバーは、掃除機などでホコリを吸い、仕上げに消毒用エタノール(エチルアルコール)などで拭き上げるとよいでしょう。スプレー式のものは使わないでください(理由は後述)。
エタノールは、クロカビやアオカビ、コウジカビなどに対して繁殖を抑える効果があります。ただし、取扱説明書にエタノールの使用を禁止する記載がある場合は、使わないでください。
参考:国民生活センター『カビ対策は正しく知って、上手に予防することから』
市販のスプレー等の利用には注意が必要
カビが生えてしまったら、除去するために、市販の洗浄スプレーを利用したいと思われるかもしれません。しかし、市販の洗浄スプレーはおすすめできません。
実際、多くのエアコンメーカーが「使わないでください」と案内しています。なぜなら、市販の洗浄スプレーは以下の原因になる可能性があるからです。
- 樹脂部品の割れ
- 内部部品の劣化
- 電気部品の絶縁不良
- 排水経路の詰まり
万が一、上述のような不具合が発生すると「感電、水漏れ、発煙、発火」などにつながります。
参考:Panasonic「市販の洗浄スプレーでエアコン内部のお手入れはできるか」
アルコール除菌スプレー(消毒用エタノールスプレー)も、吹きかけないようにしてください。基板やセンサーの故障、あるいは冷媒配管からのガス漏れなどにつながる可能性があります。
コロナ禍以降、アルコール除菌スプレーを常備されているご家庭が増えました。なんでもシュッとひと吹きしておくと、除菌できているようで気持ちいいですよね。
しかし、エアコン付近での使用はやめておきましょう。とりわけ稼働中は、エアコンがお部屋の空気を吸い込んでいますので、お控えください。
エアコン内にカビが発生した場合の対処法
最後に、エアコン内にカビが発生した場合の対処法をご紹介します。
運転開始直後に5~10分くらい換気しよう
エアコンからカビ臭を感じる場合は、すでにエアコン内部にカビが繁殖しています。送風運転やフィルター清掃では、もう根本的に問題を解決することはできません。
できるだけ速やかに、エアコン内部をクリーニングしましょう。掃除するまでの応急対策としては、換気が有効です。
カビが繁殖しているエアコンは、スイッチを入れた直後に多くのカビを飛散させます。そして、飛散量はしばらく運転すると減少していきます。
ですから、運転開始直後の換気が有効です。エアコンの運転開始から5~10分間くらい窓を開けておき、浮遊するカビを室外に排出しましょう。
プロに内部のクリーニングを依頼しよう
カビ臭は「エアコン内部を徹底的にお掃除するタイミング」のサインです。そのまま使い続けると、運転中にカビが放出され、健康を害するリスクが高まります。
ただし、エアコン内部のお掃除を自分でやるのは、おすすめしません。なぜならエアコン内部の洗浄は、洗剤や洗浄方法の選定、処理などに専門的な知見が必要だからです。
ぜひ、プロのエアコンクリーニング業者をご利用ください。一般の方では掃除が困難な箇所も、すっきりキレイにできますよ。
1~2年に一度、冷房のシーズンが終わるころに、吹き出し口からエアコンの内部をご覧ください。カビの繁殖が疑われるようなら、専門の清掃業者を呼んでいただくとよいでしょう。
まとめ:エアコンのカビを防止して、家族の健康を守ろう
エアコンは、私たちの生活に欠かせない存在です。しかし、その中に潜むカビは、私たちの健康や快適な生活に悪影響を及ぼす可能性があります。
家族の健康を守るため、そしてエアコンを長持ちさせるためにも、日頃の「カビ予防対策」と「繁殖させてしまった際のクリーニング」が大切です。ぜひ、実践してみてください。
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この記事の監修者
株式会社my connect(ハウスエイト)
代表取締役
会社概要 »
経歴:平成26年にハウスエイトを設立し横浜市や藤沢市を中心に神奈川県エリアで、エアコンクリーニングやキッチン・お風呂などのお掃除をするハウスクリーニング業に従事。
経験を活かし、プロの目線で、汚れのことやお掃除に関するお悩みの解決方法をブログで紹介しております。
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